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「刀剣・和鉄文化を保存振興する議員連盟」が本格始動 刀博を視察し、文科大臣に伝統文化の保存振興策を提言

六月四日、刀剣博物館を「刀剣・和鉄文化を保存振興する議員連盟」の一行が視察に訪れました。見えたのは、甘利明共同代表世話人をはじめとする加盟議員、細田博之・竹下亘・武藤容治・山田賢司・青山繁晴・小川克巳・山田宏・長尾敬・三宅伸吾・高鳥修一の十一氏。文化庁から山﨑秀保文化財部長・圓入由美美術学芸課長・福島俊輔美術学芸課企画係長の三名が同行されました。

公益財団法人日本美術刀剣保存協会では、酒井忠久会長・柴原勤専務理事・志塚徳行常務理事・福本富雄常務理事・秋田敏彰理事の役員のほか、飯田俊久事務局長ら全職員が訪問を歓迎し、館内の案内に当たりました。

「刀剣・和鉄文化を保存振興する議員連盟」の皆さんと日刀保役員・職員
「刀剣・和鉄文化を保存振興する議員連盟」は、刀剣に関心を持つ若者の増加や海外での人気の高まりが見られる一方、その製作や原材料である和鉄の生産を取り巻く環境が厳しさを増していることに鑑み、それらの伝統と文化を守り、振興を図っていくことを目指して、今年二月に発足しました。

この日は、三階展示室にて酒井会長が挨拶を述べた後、日本刀の鑑賞が行われました。国会議員の皆さんは学芸員の説明に熱心に聞き入りながら、名刀を手に取って鑑賞されていました。その後、バルコニーに出て眼下に広がる旧安田庭園をご覧いただきました。

また、二階の審査室で行っていた刀剣の鑑定作業も視察いただきました。そして一階の展示室に移動し、現在唯一操業している「日刀保たたら」について、現物やパネルを見ながら担当学芸員からの説明に耳を傾けられました。

最後に玄関で記念撮影をし、三時間余りの見学会は終了しました。

私はこの日の取材で、われわれ刀剣商が気づかないところで国会議員の先生方が刀剣や和鉄の文化伝承に尽力されていること、また行政の面から文化庁の職員の皆さまが刀剣を支えてくださっているのだということを知り、あらためて深く感謝の念を抱きました。

続いて六月二十二日、「刀剣・和鉄文化を保存振興する議員連盟」の皆さまは文部科学省を訪問し、林芳正文部科学大臣と宮田亮平文化庁長官に面会、林大臣に「刀剣・和鉄文化の保存振興に向けた要望」を提出されました。

そこには、次の五つの具体的な提言が示されています。

①刀匠・刀職など、刀剣類の製作技術者の人材育成に努めること。

②日本刀のブランディングを確立する方策と、刀剣類の製作制限に関する見直しにつき、検討すること。

③刀剣関係団体による全国統一の公募展実施を目指し、必要な支援を行うこと。

④美術刀剣等を活用した地域振興・観光振興に資する企画展への支援を拡充すること。

⑤和鉄文化の保存振興のため、和釘の使用拡大に口する文化財建造物や美術工芸品の保存修理への支援の拡充、たたら製鉄への振興助成金の増額。

林大臣と宮田長官を囲む議員連盟の皆さんいずれも予算措置を必要とする有用な政策ですが、同議員連盟の甘利・細田・竹下各共同代表、逢沢一郎幹事長、山田宏事務局長らが次々に現状の問題点や打開案を述べられ、これに対して林大臣も「しっかりと取り組む」と応じておられました。

皆さまのこ指摘には長年にわたる斯界の懸案事項も含まれ、今後、大きな成果につながっていくことが期待されます。 (生野正)

《※本記事は、弊社代表が執筆し、組合誌「刀剣界 第42号」(2018年7月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》

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