第65回「刀剣研磨・外装技術発表会」開かれる
公益財団法人日本美術刀剣保存協会では、日本刀の研磨と外装に関わる伝統技術の保存・向上を図るとともに、広く現代技術の優秀さを認識してもらうことにより、文化財としての刀剣への関心を高めることを目的として「刀剣研磨・外装技術発表会」を開催してきたが、その第六十五回発表会の表彰式が十一月三十日、刀剣博物館四階講堂で開催された。
今回の出品総数は無鑑査を除き七十三点で、部門別では研磨三十九点、白鞘九点、はばき七点、拵三点、柄巻十五点であった。各部門の入賞者は次の通り。
<研磨の部>
・木屋賞 松村壮太郎
・竹屋賞 井上聡
・千葉賞 是澤光昌
・優秀賞 平井隆守 菊池真修 神山貴恵 苅田直樹
・努力賞 三村昌三 各務弦太 大西伸夫 塚本浩之
<白鞘の部>
・優秀賞 永洞修 河合広明
・努力賞 塚本剛之
<はばきの部>
・優秀賞 三島幹則 宮本恒之
<拵の部>
・優秀賞 久保純一 伊藤俊克
・努力賞 曽我部明
<柄巻の部>
・優秀賞 久保純一 橋本幸律 飯山隆司
・努力賞 出口智之 笠原喜幸
これらの入賞作品展は十二月四日から十六日まで、刀剣博物館二階展示室で開催された。
なお、十一月十四日に開かれた審査会には公益財団法人日本刀文化振興協会から五名が出席し、審査に当たった。これは、公益財団法人間の審査員派遣要請とその受諾という形で実現したもの。
当組合としても、刀剣界の発展のために両公益財団法人の交流が図れるよう尽力し、その結果、二回の懇談会や大刀剣市の新作名刀コーナーなどの成果も見てきた。今回の審査員派遣は、これらを受けた交流事業への一層の発展とも見られる。
両協会のコンクール事業としては、刀文協に「新作日本刀・研磨・外装刀職技術展覧会」、日刀保に前出発表会と「新作名刀展」があり、業界では趣旨に大差がないなら統合してはという声もある一方、並行するなら、いずれにも出品したくなるような特徴あるコンクールにしてほしいとの向きもある。
行き掛かりはさておき、両協会による思い切った検討が期待されている。 (服部暁治・生野正)
《※本記事は、弊社代表が執筆し、組合誌「刀剣界 第9号」(2013年1月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》