日刀保の「新作名刀展」表彰式開かれる
平成二十五年度の新作名刀展表彰式が、五月二十八日、主催する公益財団法人日本美術刀剣保存協会(日力保)の講堂において執り行われました。
小野裕会長の挨拶に続き、表彰式に先立ち、亡くなられた尾川邦彦刀匠(無鑑査)に対して生前の業績をたたえ、こ遺族に表彰状が贈呈されました。
今年の総出品数は六十二点。内訳は、無鑑査が十四点、無鑑査を除いて刀の部が二十六点、刀身彫が四点、彫金の部十八点でした。審査の結果、入賞者二十四名で、受賞者は次の通り。
特賞は三名で、刀の部の日本美術刀剣保存協会会長賞に松葉一路氏、彫金の部の同会長賞は山下秀文氏・羽川安穂氏が受賞。賞状とカップと賞金、作刀の部受賞者には玉鋼二十キロが授与されました。
優秀賞は十名で、作力の部で、加藤政也氏(太刀・刀の部と小脇指・短刀の部で二部門受賞)・曽根寛氏・北川哲士氏・高見一良氏・新保基治氏、刀身彫の部では片山恒氏、彫金の部では宇津木光良氏・川島義之氏•福輿裕毅氏が、それぞれ受賞。賞状のほかに賞金、作力の部受賞者には玉鋼十キロが授与されました。
努力賞には、作刀の部六名、刀身彫の部三名、彫金の部二名の方々が受賞。代表して作刀の部から森國利文氏が呼名されて登壇し、賞状のほかに賞金、作刀の部受賞者には玉鋼十キロが授与されました。
この後、審査員から、受賞者一人一人に対し、作品の評価ポイント、良かった点、悪かった点、今後の注意していかなくてはならないところなどの講評が述べられました。
刀の部では、河内国平審査員が刀姿の仕上げや、丁子刃の大小大小中中大というリズムについて、また茎の仕上げの大切さ、理想とする目釘穴の大きさと位置に至るまで述べられました。
刀身彫刻では、当日欠席の柳村仙寿審査員に代わって飯田俊久審査員が講評を代読しました。玉追い龍の爪、龍の肉取りの良しあし、磨きについての注意点、何を彫ることによって刀を引き立てることができるのか、などが報告されました。
彫金では、橋本晴夫審奮員から、鍔も刀と同じで、全体の形・肉置き・切羽台・櫃穴と下地のデザイン、姿がまず大切であること、錆味は浅いと駄自である、布自象眼は、古作を見ると布目が浅く目立たないものだ、透し鍔はストンと彫り上げるのではなく、透かしの内側に自然な肉置きがあることによって立体感が出てくるものである、などの解説がありました。
なお、新作名刀展は刀剣博物館での展示の後、六月二十九日(土)から七月十八日(木)まで山形県の致道博物館にて、九月二十一日(土)から十月六日(日)まで埼玉県の川越博物館にて巡回開催されます。 (生野 正)
《※本記事は、弊社代表が執筆し、組合誌「刀剣界 第12号」(2013年7月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》