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第67回刀剣研磨・外装技術発表会表彰式挙行される

季節は晩秋を迎え、街を彩る紅葉樹を一層輝かせるような青空に恵まれた十一月二十八日、六十七回目を迎える平成二十六年度の刀剣研磨・外装技術発表会表彰式が日本美術刀剣保存協会四階の講堂において開催されました。

式には日刀保より小野裕会長、柴原勤専務理事、志塚徳行常務理事、福本富雄常務理事が出席され、審査員からは廣井雄―・藤代興里・柳川清次・斉藤司・坂入眞之・橋本晴夫・羽川安穂の各氏が出席されました。

まず、去る十一月十四日に行われた審査の経過と結果に関する報告が事務局よりなされました。

今年の発表会への総出品数は百二十二点で、その内訳は、無鑑査が十二点、その他の出品数が百十点でした。受賞者は計二十七名で、内訳は優秀賞四名、努力賞二十三名、そして入選者は計七十八名でした。残念ながら特賞の該当はありませんでした。

■優秀賞受賞者を代表して答辞を述べる研師の井上聡氏

〈研磨・鎬造りの部〉井上聡

〈白鞘の部〉塚本剛之氏

〈刀装の部〉久保純一

〈白銀の部〉宮本恒之

■努力賞

〈研磨·鎬造りの部〉湯浅健吾・細越敬喜・小宮光敏・三村昌三・齋藤秀夫・真津仁彰・菊池真修・平井隆守・松村壮太郎・津上修一・苅田直樹・柿沼進一

〈研磨・平造りの部〉柏木良

〈白鞘の部〉永洞修・久保純一・曽我部明氏

〈刀装の部〉セルゲイ・セメンチュク

〈柄前の部〉久保純一・出口智之・橋本幸律・藤田康輝・飯山隆司

〈白銀の部〉三島幹則・吉田謙三

受賞者の表彰の後、各部門の審査員から、作品の評価ポイント、良かった点、悪かった点、今後注意していかなくてはならないところなどの講評が述べられました。

研磨部門の斉藤審査員からは、内曇・地艶などの砥石が利いているか、つまりより細かい砥石に移行する前に、前の段階での荒い砥石目が抜けているか、切先の横手筋がきれいに切れているか、鎬地に磨き棒がしっかり当たっているか、などの指摘がありました。

白鞘の部ならびに刀装の部では、廣井審査員より、拵の表現のカ強さは、鞘の肉取り次第で変わる。角所の細かい点にも気遣いをしながら製作すると、より優れた作品となる。柄巻きは全体的に良かったと思う。白鞘製作での重要なポイントは、肉取りが適当であること。特に、柄が持ちやすいことが重要である。それ以前に木地の中に節が入っていたり、乾燥状態が不十分であるのは好ましくない。また、目釘もおろそかにしてはならない。目釘が出すぎていたり、へこんでいたりすると白鞘を傷つけることになる。とにかく、扱いやすい白鞘を作ることが大切である、などと述べられました。

柄前の部では坂入審査員が、今年は十八点と多くの出品があり、将来が楽しみである。作品にこれで完成ということはないが、手間をかける飽くなき追求心を持つことが肝要である。例えば、鮫皮一つにしても、宝右のように磨き上げられたものは実に美しい。柄巻きでは、ふし紙が均等に入っていないと、仕上がりに影響が出てしまう。スッキリと力強くまとめられた柄は、優美である。さらなる精進に期待したい、と述べられました。

白銀の部からは羽川審査員が、はばきの鑞付けは火をかけることにより、地が緩み強度が下がってしまうから、二度の鑞付けは絶対にしないようにしてほしい。また、棟と刃区の呑み込みがキッチリと合っていないと、刃区が欠けたりして損失が大きくなり、結果として刀を壊してしまうことになるので注意が必要である。来年も多数の出品があることを期待したい、などの講評がありました。

私は昨年に続き表彰式の取材をさせていただきました。新しい作品を世に送り出すには、研磨に始まり、多くの刀職者の協力が必要です。どんな世界でも技を極めることは容易なことではありません。毎年出品し、精進し続ける刀職者たちに激励の声援を送りたいと思います。 (生野 正)

《※本記事は、弊社代表が執筆し、組合誌「刀剣界 第21号」(2015年1月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》

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