設立七十周年・たたら操業四十周年記念「第二回全国大会」を開催
去る十一月二十四・二十五日の二日間、公益財団法人日本美術刀剣保存協会(酒井忠久会長、以下「日刀保」)の協会設立七十周年・たたら操業四十周年記念「第二回全国大会」が東京・墨田区の第一ホテル両国にて開催されました。本紙特派として大会の取材をしてきたので、報告します。
この日は昼より同ホテル五階にて受付を開始、午後四時まで五階の第一会場、二十五階の第二会場にて刀剣鑑賞会が行われました。各会場には、重要文化財・重要美術品の太刀・刀・短刀をはじめ、数々の拵や刀装具が陳列されています。参加した会員はそれらを手に取って鑑賞するのに、順番を待って長い列ができるほどの盛況でした。一本入札鑑定も行われ、集った愛刀家連が目利きを競っていました。
大会と併せて、近くの刀剣博物館見学も配慮され、大会参加者は朝九時半から午後四時までの間、三階の展示室で作品を鑑賞することができました。また、館内の別会場では、吉原義人刀匠による講演会も開催されました。遠方から来られた方の多くは、新刀剣博物館オープン後、初めて来館される良い機会となったようです。
刀剣鑑賞会と講習会は午後四時に終了、休憩を挟み、午後五時からは同ホテル五階「清澄の間」において記念式典と懇親会が開催されました。
柴原勤専務理事が開会の辞を述べ、続いて酒井会長が主催者を代表して挨拶されました。来臨された彬子女王殿下からは、たたら操業四十周年と協会七十周年のお祝いのお言葉を賜りました。
続いて来賓を代表し「刀剣・和鉄文化を保存振興する議員連盟」事務局長の山田宏参議院議員から、さらに日刀保たたらの操業にご尽力いただいている日立金属株式会社執行役常務・佐藤光司氏から、それぞれ祝辞を頂きました。
次に、各界からの多数の祝電が披露された後、功労者等の表彰が行われました。表彰されたのは、新潟支部長の近藤昌敏氏と日野原大日刀保学芸部長でした。引き続き入札鑑定表彰が行われ、宮野貞司氏が天位に輝きました。
閉会の辞は志塚徳行常務理事が述べ、記念式典は滞りなく終了しました。
式典終了後、午後六時より同会場において懇親会が開催されました。福本富雄常務理事が開会を宣言した後、山本亨墨田区長の発声で乾杯。円卓に着席のスタイルで豪華なフランス料理とおいしいお酒が振る舞われました。
愛刀家・刀職者・日刀保都道府県支部役員ら、全国から馳せ参じた方々は三百名以上、私たち全国刀剣商業協同組合からも二十余名が参加し、刀剣界の将来の発展を願い、皆さんと親交を深めました。
しばしの歓談の後、株式会社日立金属安来製作所・春和彦代表取締役社長より中締めのご挨拶を頂き、午後八時に懇親会はお開きとなりました。
大会二日目は、朝九時から午後二時まで同ホテルにおいて刀剣鑑賞会が行われました。
昨年は一月十八日に新刀剣博物館がオープン。また協会設立から七十周年、たたら操業開始から四十周年と、誠に記念すべき年でした。近年、若年層を巻き込んだ国内の日本刀ブームがあり、さらに海外でも日本刀が鉄の美術品として一層の広まりを見せています。今年は、日本刀を取り巻く世界に一段の飛躍が期待されます。 (生野正)
《※本記事は、弊社代表が執筆し、組合誌「刀剣界 第45号」(2019年1月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》