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写真特集:鮫鞘のいろいろ

写真特集:鮫鞘のいろいろ

鮫鞘のいろいろ

美しさと実用性を兼ね備えた鮫鞘

元禄頃から流行を見た鮫鞘とは、エイなど鮫科の魚類の皮をなめして乾燥したものを鞘に巻いて、その上に黒・藍・朱などの色漆をかけ、砥石で研ぎ出したものであります。鮫やエイの種類により様々な文様が浮き出ます。細かい網目模様、玉模様、梅の花が咲いた模様、星の模様、蝶々の模様、様々です。また、鮫鞘は装飾性に優れているばかりでなく、皮が硬質であるため、実用上の頗る堅固な特性を生かし、鞘自体の割れを防いで刀身を守る、衝突による傷や雨から拵を守るということで非常に合理性が高かったために、室町時代から江戸時代にかけて広く普及しました。

戦前の軍刀にも取り入れられ、陸軍、海軍で利用されました。陸軍刀で鮫を張り茶漆を研ぎだした拵は珍しいですが、写真でご紹介するように海軍刀では広く用いられました。
このように柄や鞘の材料として重宝に用いられてきた鮫皮ですが、鮫は日本近海での捕獲数が少なく、古来より海外(琉球台湾方面)からの輸入にたよる状況でした。さらに一尾の鮫から背の一部分のみを使い一本分の材料が取れるわけで、そう考えると生産性が悪く誠に無駄が多かったとも言えます。

さてその鮫皮は背筋の中央が最も珍重されます。背の中央に位置する突起物が親粒で、これが大きくて、その周囲を取巻く小粒と共に、一のにらみ、二のにらみという様に綺麗な配列で、一見九曜の紋になる柄鮫は、江戸時代に一枚の代二百金という非常に高価なものでした。将軍家御料に使うともなると千両鮫という献上品(献上鮫)までが存在しました。そんな貴重な鮫に漆を塗って砥石で地道に研ぎだすわけですから相当な手間も掛かった武士の財産だったわけです。時代が経て今に伝わるこれら御金がかかった鮫鞘拵を見ると、当時作った御方の熱意というか凝りようが伝わって参ります。

ご紹介します写真の拵は、弊社が保存している保存の程度が良く、しかも鮫皮も大きな一枚皮を用いたもの、模様が綺麗に揃ったものを選んで掲載しております。チョウザメの鱗拵といろいろ鮫皮を合わせた拵が未だ載っていません。これはいずれご紹介させていただくことといたします。お楽しみにお待ちくださいませ。

(写真: 銀座誠友堂 ※写真の無断転載・無断使用を禁止します)

写真で見る美しい鮫鞘

日本海軍拵

海軍制式軍刀(太刀型)

海軍制式軍刀(太刀型) 海軍制式軍刀(太刀型) 拡大

一枚ものの大きな親粒付鮫皮を用いた特注品の海軍太刀型拵である。海軍刀は船内で活動する場合を考えて、短い刀を仕込むものが多く、陸軍刀より長さが寸詰まりのものが大半である。この拵には反りが利いた長い古い時代の太刀が仕込まれている。人目憚ることの無い、さぞかしの勇ましい軍人が持ったものであることが判る。

両手握りのサーベル軍刀拵

両手握りのサーベル軍刀拵 両手握りのサーベル軍刀拵 拡大

藍鮫 (ツノザメ科アイザメ属の海水魚の総称。日本では、アイザメ・オキナワヤジリザメ・ゲンロクザメ・タロウザメの4種が太平洋側の深海にすむ。)を用いた海軍サーベル軍刀拵である。鮫皮の模様が大きく鮮明で、金具が通常のものと別格に繊細な仕上がりである。江戸期の粟田口忠国が仕込まれている。上級海軍士官の帯刀である。

海軍士官指揮刀

海軍士官指揮刀 海軍士官指揮刀 拡大

こちらも藍鮫皮を用いたサーベル型指揮刀である。終戦間際の同作の場合、手間がかかる鮫皮を巻かず、牛革を巻くものが登場した。この指揮刀は上等な藍鮫を巻き、金具も丁寧に作られていることから大戦初期の作であることが判る。

海軍士官短剣

海軍士官短剣 海軍士官短剣 拡大

通常の海軍士官短刀拵は、藍鮫皮を巻く。大戦後期は手間がかかる鮫皮を巻かず、牛革を巻く。であるが、この拵は通常の鮫皮が使われている。鞘も通常の拵よりかなり太い。軍支給の短剣拵には、今日では所持許可が付かない鉄の素延刀が入っていた。この海軍士官短剣拵には室蘭製鉄の堀井俊秀の短刀が仕込まれている。

江戸時代の鮫皮研出鞘拵

星模様が綺麗な鮫鞘

星模様が綺麗な鮫鞘 星模様が綺麗な鮫鞘 拡大

星模様が綺麗な鮫皮を用いた非常に珍しい拵。鞘の漆部分に一切の傷みが無い状態である。探してみると意外と見つからない鮫皮研出鞘拵と言える。柄の鮫には金漆が塗られ立派な金具でバッチリとまとめられた拵で、さぞかしお洒落な武士の帯刀であったと思われる。

鮫皮の刻拵

鮫皮の刻拵 一分刻 鮫皮の刻拵 一分刻 拡大 鮫皮の刻拵 五部刻 鮫皮の刻拵 五部刻 拡大 上の肥後拵が一分刻、下の拵が五部刻の鮫皮研出鞘拵である。鮫の皮は非常に硬く平らに巻き上げるだけでも大変な技術と手間がかかる。これらの作品を現代で製作することは難しく、昔の職人の技には本当に感心させられる。経年劣化が見られない保存状態の拵たちである。

梅花皮(かいらぎ)鮫皮研出鞘拵

梅花皮鮫皮研出鞘拵 大小 梅花皮鮫皮研出鞘拵 大小の大 拡大 梅花皮鮫皮研出鞘拵 大小の小 拡大 梅花皮鮫皮研出鞘拵 梅花皮鮫皮研出鞘拵 拡大

梅花皮鮫という皮を用いて作られた大小拵と打刀拵である。ここに載せた大小拵と打刀拵は、梅が咲いたように華やかな梅花皮(かいらぎ)の拵で、当時から大変人気があった鮫鞘拵である。やはり経年の劣化や傷みが無い状態で残っている。相応の金具がついた一級の鮫皮研出鞘拵である。

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