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若者広場12 苅田 直樹 新撰組の故郷で研ぐ

若者広場12 苅田 直樹 新撰組の故郷で研ぐ

 私の家は、祖父の代から東京・立川で日本刀の研磨を仕事としていました。小さいときから仕事をしている姿を見ていたので、次第に日本刀へ興味を持っていったのを覚えています。
 高校を卒業して藤代興里先生のところへ入門し、十年間という長いようで短い期間、研磨の教えを請い、平成二十四年四月に独立させていただき、立川市に仕事場を構えることになりました。
 修行中一番の思い出になったのは、大太刀の研磨です。錆を取りすぎて刀を減らさないように、錆を残しすぎて美観を損なわないようにと、この錆を残すか、取り除くのかを何度も先生に質問しました。その度に真剣に答えていただきました。刀を美しく残すーそのため刀を研ぎ減らさないことが一番大事だと教わりました。
 立川がある三多摩は新撰組の故郷であり、近藤勇の大和守秀国、土方歳三の十一代会津兼定が大事に受け継がれています。また、三多摩では下原鍛冶が室町時代末から小田原北条家の元で作刀しています。日刀保多摩支部では研究も盛んで、下原刀の愛刀家もたくさんおられます。地元の刀を大事にすることは素晴らしいことだと思います。
 ここ立川で日本刀の研磨をさせていただくに当たり、少しでも多くの方に、少しでも長く、次の世代にこの美しい日本刀という文化をつなげるお手伝いをさせていただけたらいいなと考えています。
 今までお世話になった藤代先生をはじめ、いろいろなアドバイスをくださった諸先輩、本当にありがとうございました。これからもご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
■連絡先 〒190-0022 東京都立川市錦町1-2-18 ☎042-523-2628

●一筆啓上
 今回ご紹介するのは、JR立川駅南口より徒歩二分、ウインズの前にお店を構える苅田刀剣店の三代目、苅田直樹君です。彼は藤代興里氏の元で十年の修業を積み、昨年独立した若い砥師です。
 私と苅田家とは二十五年以上のお付き合いになります。初代は苅田有雄さん。八王子の苅田徳市さんが経営していた刀剣店で、研磨技術を習得しました。空襲で焼け出され、立川市に現在のお店を設けます。「戦時中は軍刀の研磨も行い、出征する兵士の刀を徹夜で研いでいた。八王子は盆地だから、厳冬期になると刀身が砥石に瞬間凍りつくほど寒く、指先を切ることもあった」などと話してくれたことを懐かしく思い出します。
 さて、二代目は苅田直治さん。私の一回り上の同じ丑年生まれで、親友です。彼は小野光敬先生の弟子である五十嵐一郎氏に師事。苅田刀剣店を引き継ぎ、現在に至ります。持ち前の器用さで仕事をこなす一方、気さくな性格は誰からも愛され、商店街の役員、日本刀多摩支部役員、太極拳の指導者、海外の愛刀家との交流と多忙な日々を送っています。当然ながら、下原刀の研究、新撰組隊士たちの刀の研究、刀絵図の作成にも造詣が深く、アメリカで個展を開いたほどです。
 そして、刀一筋の環境で育ったのが三代目の直樹君です。刀の持ち味を最大限に生かす研磨を目指しており、急ぐ仕事、手を抜く仕事は絶対にしません。少々時間がかかり、父親から見ると歯がゆいようですが、この頑固さが職人魂だと思います。才能を開花させ、立派な砥師に成長すると確信しています。
 なお、苅田直樹君は、花嫁を募集中です。この記事を読んで、お付き合いしてみたい、手紙を書きたいと思われた女性も多いことでしょう。大歓迎です。       (生野 正)

苅田 直樹

《※本記事は、弊社代表が執筆し、組合誌「刀剣界 第15号」(2014年1月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》

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