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美術館・博物館訪問2 土方歳三資料館 歴史散策の中心でファンを魅了

土方歳三資料館 歴史散策の中心でファンを魅了

 私が資料館に関連する印刷物の仕事をいただき、初めて土方歳三資料館を訪れたのは、十三、四年ほど前のことです(当時は印刷業だった)。館長は歳三の兄・土方隼人義厳から数えて六代目の現館長・愛さんのお母様である五代目陽子様でした。
 そのころから何かとお付き合いさせていただいているご縁で、資料館創設から今年でちょうど二十周年となることもあり、当組合機関誌にぜひともご紹介しようと取材をお願いしました。
 この二十年ほどで、東京多摩地区の開発には目覚ましいものがあります。都市化が進む一方で、史跡や歴史・文化施設も整備されています。特に目玉となっているのが地元にゆかりの新撰組であり、中でも熱烈なファンを集めるのは日野の土方歳三生家に設立された土方歳三資料館です。
 歳三の生家はもともと土方家墓所である石田寺の北側、稲荷森の東後方にありましたが、歳三が十二歳だった弘化三年(1846)、多摩川の洪水に遭い、母屋などを現在の場所へ移築しました。
 その古い家屋は平成二年に建て替えられましたが、生家の保存、史料公開を望む各方面からの要望に応えて、同六年、住居の一室に歳三の遺品など展示するなどし、資料館として公開するに至ったのです。その資料館も最初は小規模なものでしたが、平成十七年に改築され、現在の立派な資料館として生まれ変わりました。
 展示品は、歳三佩刀として有名な和泉守兼定、池田屋で使用したと伝わる鎖帷子、歳三の内面を知る発句集など、約七十点。土方歳三ファン必見のお宝がいっぱいです。幕末の資料がこれほど充実している施設は全国でも数少ないと思われます。
 また、少年時代の歳三が庭に植えた矢竹、相撲のぶつかり稽古をした大黒柱など、生家ならではの遺物も保存されており、歳三の息吹に触れることができます。
 現館長の土方愛さんは、青梅マラソンにも参加して、10km、時には30kmを走り込むという活発な女性です。訪問者を笑顔で出迎えてくれ、質問にも気さくに応じてくれます。
 「資料館を運営していると、全国からいろんな業界・職種の方々がいらして、私も勉強になるんですよ。歳三さんは俳句をやっていたので、俳諧の専門家もお見えになりました」と、にこやかに話す愛さんは、私が個人的に大絶賛する美人館長さんです。
 平成十二年には多摩モノレールが全線開通し、交通の便も格段に向上しました。高幡不動、石田寺、日野宿本陣など、周辺には歳三ゆかりの史跡もあり、土方歳三資料館は今後も日野の歴史散策コースの中心であり続けることでしょう。
 館内では歳三遺愛の和泉守兼定の押形をはじめ、刊行物や各種グッズも販売されており、訪問者を喜ばせてくれています。
 現在のところ、資料館の一般公開は月二回であり、開館時間も限られているので、来館希望者は必ずホームページで確認してからお出かけください。あくまでも個人宅の一部であることを忘れずに、訪れる人はマナーを守っていただきたいと切に願います。                    (生野 正)

■土方歳三資料館 〒191-0021 東京都日野市石田2-1-3 開館は毎月第一と第三日曜日12~16時。詳細はHPにてhttps://www.hijikata-toshizo.jp/
 多摩モノレール万願寺駅より徒歩2分。または京王線高幡不動駅より徒歩15分。中央高速国立府中ICより車で5分。ただし専用駐車場はないため、周辺の有料駐車場を利用のこと。

土方歳三像と土方愛館長
土方歳三資料館の展示風景

《※本記事は、弊社代表が執筆し、組合誌「刀剣界 第19号」(2014年9月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》

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