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日本美術刀剣保存協会「現代刀職展」表彰式

日本美術刀剣保存協会「現代刀職展」表彰式

各部門の精鋭たちに栄誉を授賞

 去る11月29日、公益財団法人日本美術刀剣保存協会(酒井忠久会長、以下「日刀保」)主催の令和四年度「現代刀職展」表彰式が、第一ホテル両国において開催されました。

 式典には、来賓として高村正彦元外務大臣(日刀保名誉顧問)、逢沢一郎衆議院議員(「刀剣・和鉄文化を保存振興する議員連盟」幹事長)、山田宏参議院議員(同事務局長)、齋藤憲一郎文化庁文化財第一課長、深海信彦全国刀剣商業協同組合理事長が出席されました。

 表彰式は午後1時半から執り行われ、初めに酒井会長から挨拶がありました。次に来賓の逢沢議員、山田議員、齋藤課長が祝辞を述べられ、続いて主催者の指名で本田議員と深海理事長がスピーチをされました。

 表彰に入ると、まず作刀の太刀・刀・脇差・薙刀・槍の部で高松宮記念賞を受賞した森國利文さんに賞状と賞杯が授与されました。続いて、薫山賞を木村光宏さん、寒山賞を高橋祐哉さん、日刀保会長賞を北川哲士さんがそれぞれ授与されました。

 同じく作刀の短剣・剣の部では、高橋裕哉さんが薫山賞を、安藤祐介さんが寒山賞を、彫金の部では、栁川清次さんが薫山賞を受賞しました。研磨鎬造の部では、文部科学大臣賞に各務弦太さん、木屋賞に是澤光昌さん、竹屋賞に真津仁彰さん、千葉賞に松村壮太郎さん、薫山賞に森井鐵太郎さん、寒山賞に小川和比古さん、日刀保会長賞に諸富剛さんが選ばれ、また同平造の部では、寒山賞を玉置城二さん、日刀保会長賞を安部義貞さんが、それぞれ受賞しました。

 柄前の部では日刀保会長賞を久保謙太郎さんが、白銀の部では日刀保会長賞を三島幹則さんが受賞しました。

 受賞者の方々は名前を呼ばれると緊張した面持ちで登壇し、酒井会長より賞状と賞杯が授与されていました。また、受賞者には分野ごとに玉鋼などの副賞が贈られました。

 その後、審査員から全体の講評があり、作刀の部では、例年は刀匠の審査員が講評を述べるところ、今回は学識経験者として、ふくやま美術館館長の原田一敏審査員と、塚本美術館館長の三角正人審査員(原田審査員が代読)の両人から講評がありました。

 三角審査員からは、今年は「令和の名刀・名工展」も開催され、やりくりが大変な方もいる中で昨年並みの出品数があったこと、年々技術が向上し上下の差があまりなくなってきたこと、また審査で最もウエートが高い刃文、刀姿や茎仕立てなど、審査のポイントについても詳しく指摘があり、その他、短刀のみ出品された方は太刀・刀にもぜひ挑戦してほしいこと、無鑑査の方は正宗賞を目指して覇気ある作品を見せてほしいことなどの講評がありました。

 研磨の部については、臼木良彦審査員から、昨年よりも多くの出品があり大変好ましいこと、近年技術の向上が顕著であること、特に今年の特賞と優秀賞の上位は甲乙つけがたく優れたものであったなどの講評がありました。

 また、下地の悪いものが数点あったほか、ヒケの入っているものも多かったこと、などの注意がありました。そのほか、刃取りは深めに取ったものが多くあり、谷はやや深めでも良いが焼頭は深く取りすぎないように、などの技術的なポイントが指摘されていました。

 なお、今回からは特賞を受賞した作品については、個別に講評を『刀剣美術』に掲載するとのことです。

 受賞者を代表して高松宮記念賞を受賞した森國利文さんが答辞を述べられ、式は一時間半ほどで滞りなく終了となりました。

 閉会後は記念撮影が行われ、受賞者の皆さんの表情にも喜びが満ち、会場は祝賀ムードに包まれていました。                           (生野直輝)

 


《※本記事は、組合誌「刀剣界 第65号」(2023年1月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》

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