古賀藩主土井利位候の注文打ちも圧巻
古河歴史博物館「かえってきた堀川国廣」
古賀藩主土井利位候の注文打ちも圧巻
三月十八日から五月七日まで茨城県古河市中央町の古河歴史博物館において「かえってきた堀川國廣」と題し、刀工堀川國廣の名品 二十五振を展示した企画展が催されました。
ここ古河歴史博物館では古河藩の家老・長尾氏の祖先が「山姥切國廣」を打たせた武将長尾顕長であったことに着目し、平成二十六年に企画展「堀川國廣とその一門」を開催しています。この展示会は近年の堀川國廣研究における集大成の要素を持つものであり、またその後の国廣ブームに大きなインパクトを与えました。
今回、二度目となる國廣展は、前回以来展示のなかった刀工堀川國廣の名品に、新たな作品も加え、ふたたび國廣の魅力を発信するものになります。
本展の開催に当たっては、当組合の理事を務められる瀬下明氏と、ご子息の昌彦氏の並々ならぬご尽力がありました。
瀬下さんはこれまでにも同館の刀剣企画展に多々参画しており、今回の展示でも企画や作品のセレクト、展示、図録の制作や広報活動のほか、元日本美術刀剣保存協会調査課長岩田隆氏の協力を引き出すなど、長い道のりを奔走されました。多くのご苦労があったことでしょう。頭が下がります。
私は四月十九日に、本展を取材し、またインタビューもしてきましたのでご報告します。
古河歴史博物館までは、東京から車で一時間ほどで到着しました。旧古河城出城跡に開館したもので、周辺の景観を生かし吉田桂二氏によって設計されたこの建物は、日本建築学会賞や公共建築賞を受賞しています。周辺には古河文学館などの文化香る施設も立ち並んでいます。
「開催初日には博物館の外まで入館者の行列ができ、整理券を発行したんですよ」。週末には、特に若い女性が押し寄せているとのこと。昌彦さんも嬉しそうです。
展示されていた刀は重要美術品をはじめ、そうそうたる名刀揃い。サプライズ展示として、展示の最後に古河藩主土井利位侯が固山宗次に打たせた大小の刀と、後藤一乗らの金工に仕立てさせた雪華文をあしらった大小の拵がありました。驚いたのは刀が実に美しく飾られていること。本当にお洒落だなと思いました。
照明もバッチリで、刃文も地鉄もきれいに見えました。これらの展示方法は一朝一夕でできるものではなく、瀬下さんの協力の下、刀剣の企画展を重ねる中で次第に改良されてきたものとのこと。見てきて本当に勉強になりました。
ミュージアムショップには、多種多様な刀剣グッズや、急きょ決まったという刀剣乱舞とのコラボグッズなど、面白いお土産がたくさんあり、最終的には完売したと聞き、これにも驚きました。
帰りには瀬下さんが、地元のおいしい鰻の蒲焼をご馳走してくれました。楽しくて非常に勉強になった一日でした。
(生野 正)
《※本記事は、弊社代表が執筆し、組合誌「刀剣界 第67号」(2023年10月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》