本作頑強な体躯に、地肌潤いをもって華麗な焼刃と合わさり、山野加右衛門永久による貴重な裁断銘が施された誠に希少な逸品である。
刀 康継以南蛮鉄於武州江戸作之(江戸三代)(金象嵌)寛文六年正月二五日 山野加右衛門六十九歳永久(花押)二ツ胴裁断 附 茶溜塗刻鞘打刀拵 特別保存刀剣鑑定書 業物
Katana [Yasutsugu(Edo 3rd generation) Saidanmei 2 Tsu Dou(Gold Inlay Body Cutting Test)(Wazamono)] [N.B.T.H.K] Tokubetsu Hozon Token
品番:KA-110323
価格 (price)御成約/sold out(JPY)
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鑑定書:Paper(Certificate): 特別保存刀剣鑑定書
国 Country(Kuni)・時代 Era(Jidai): 武蔵国,東京都(Musashi)・江戸時代中期 寛文六年(Middle Edo period 1666)
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刃長:Blade length(Cutting edge): 72.1cm(二尺三寸八分) 反り:Curve(SORI): 1.2cm 元幅:Width at the hamachi(Moto-Haba): 3.15cm 元鎬重:Thickness at the Moto-Kasane: 0.71cm 先幅:Wide at the Kissaki(Saki-Haba): 2.55cm 先鎬重:Thickness at the Saki-Kasane: 0.60cm 拵全長:Length of Koshirae : 約104cm 茎:Sword tang(Nakago): 生ぶ、勝手下鑢目、目釘孔2個。
体配:Shape(Taihai): 鎬造、庵棟、中切先。 地鉄:Jigane(Hada): 板目肌。 刃文:Temper patterns(Hamon): 互の目乱れ。 帽子:Temper patterns in the point(Bohshi): 湾れて先小丸へ返る。 登録:Registration Card: 和歌山県
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【解説】 初代康継は近江国を出身とし、はじめ「肥後大掾下坂」などと銘を切る。越前国へ移住後、同国城主である結城秀康のもとで抱工となる。その後、城主秀康の推挙によって将軍家御用鍛冶となり、徳川家康より「康」の字と「葵御紋」を賜って、康継と改銘、以後越前と江戸との間で、隔年勤務を命じられ両国にて鍛刀し、同家は江戸と越前の地にて江戸後期まで名跡を継いで繁栄する。二代目である市之丞が正徳三年に没した際、二代嫡男の右馬助が幼少であったことから三代目康継の継承にあたって相続争いが起こる。騒動の結果、両国で康継家が二つに分かれ、江戸康継家は、右馬助が三代康継となり、越前三代目は、初代三男の四郎右衛門が相続することで決着した。康継をはじめとする同一派の作風は、地鉄板目が流れ心に地沸つき、肌立ち、総体黒ずんだ鉄を交えて、地色が黒くなる。地色については、越前刀工が南蛮鉄を用いて作刀した事によるものされ、茎に「以南蛮鉄」と添えれている点からも要因の一つと考えられる。刃文は直調子に浅い湾れ、互の目が入り、小沸出来、金筋、砂流し頻りにかかり、叢沸がつく。また皆焼なども散見され作域の広さが伺える。彫物でも才覚優れた刀工多く、素剣、護摩箸、倶利伽羅、不動明王、毘沙門天など巧みに彫刻された刀剣が現存する。本作江戸三代康継の作風は、初代・二代に類似し、地鉄細かな杢目、刃文は直刃調子、湾れを交えたもの、小湾れに互の目を交えた乱刃など、総じて匂深く、沸良くつくよく冴えた出来口を示す。 本刀体配は、刃長が二尺三寸八分、身幅広く、重ね尋常、反り浅めで、フクラ豊かな切っ先となる堂々たる刀姿である。地鉄は板目肌が良く練られて、地沸微塵に付き、地景鍛え目に沿って入り、鉄良く冴えた精良な鍛を呈す。焼刃は互の目を主として、尖り刃、一部小互の目が連れて箱がかり、沸出来で匂口やや締まり心に、小沸よく付いて明るく冴え、高低を付けながら穏やかに乱れ、物打ちにかけて焼を高めて複雑な変化に富む刃文となる。刃中には足と葉が入り、処々金筋がかかり盛んな働きをみせる。帽子はそのまま湾れて先尖り心に小丸に返る。また本刀には截断銘が添えられ、「山野加右衛門尉永久」による「二ツ胴截断」つまり、二体の死体を切り落としたとの記録がなされる。永久は山田浅右衛門の名で知られる山田家の御様御用(おためしごよう)の先達であり、新刀期の上位刀工である本作含め、長曾祢興里、肥前国忠吉、大和守安定、法城寺正弘などの作品に截断銘を施し、それら諸刀工の力量を広く知らしめた著名な試刀家である。現在の東京台東区三ノ輪にある「永久寺」は、永久が生涯で試斬した六千人余りの罪人供養のため、再建を担ったと伝えられる。本作頑強な体躯に、地肌潤いをもって華麗な焼刃と合わさり、山野加右衛門永久による貴重な裁断銘が施された誠に希少な逸品である。白鞘、金一重はばき、茶溜塗刻鞘打刀拵、特別保存刀剣鑑定書。
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